CG Work & Design : Atsushi Miyasaka

ずいぶん前のこと。
広告の仕事で、ある企業の初めてのウェブサイトを作りました。
大手上場企業がやっとサイトを持ち始めようとしていた頃です。

ご協力いただいたデジタルガレージのジョーイの元にサイラス君という天才がいて、
eccosysというサーバを個人的に持っており、その隅っこを貸してもらえることになりました。
まだ誰もメールアドレスを持っていないし、ブラウザはネットスケープだったような時代です。

当時仕事の合間を見つけてFontgrapherでオリジナルフォントを開発しており、
お借りしたサーバの隅っこの領域にそれを置き、世界中でダウンロードしてもらうことにしました。

フォントはなかなか不思議なもので、
コンピュータのシステムの重要な位置にどんどんインストールされます。
悪意がないから良いものの、堂々と大事な部分に入っていってしまう不思議な存在です。

世界中のパソコンにどんどんインストールされていく様は「侵略行為」ともとれると妄想し、
世界観を「惑星侵略」としました。

LightWaveで3DCGも始めていたのでせっせと宇宙空間を作り、謎のヘナチョコ円盤を飛ばし、
古いアメリカのSF映画のようなエイジングを施してサイトにしていきました。
web技術が限られたことしか出来ない時代で、gifアニメなど駆使して不自由さを楽しんでいました。

その少し前までは「ネットにつなぐと国際電話の高額な請求が来る!」とビビったり、
ホワイトハウスのサイトを見ながら、「今アメリカにつながった!」と喜んだりする程度の知識しかなかったのに、
実際フォントを配信すると世界中からアクションがあって、肌感触でネットの可能性や凄さを実感しました。
イスラエルの兵士とか、なかなか不思議な人が喜んでメールをくれました。

シェアウエア方式をとっていて、気に入った人には切手を送っていただいていました。
その後だいぶ何年も切手を買わないですみました。

この後フォントブームが来て、デジタローグ(!)などからいろいろとお誘いいただき、
会社仕事以外にずいぶん楽しい経験をさせていただきました。