Photography : Kishin Shinoyama / Design : Atsushi Miyasaka / Produce : Naoyuki Wasaka  / Published: shogakukan

クライハダカ

篠山紀信さんという人の凄さは、
時代を追う感度とそれを捕まえて自分のものにしてしまう技術、

そして多様な価値観だとつくづく思います。

ちょっと前まではアカルイハダカというテーマ。
白ホリゾントの中、鮮やかな衣装に飾られた女の子たちが光りながら写真になっていたのに、
今度はまるで180度違う暗くて隠微な世界に。
全速で走っていた道をUターンし、あっという間に反対方向へ全力疾走し出します。
これが篠山さん。半世紀写真界の先頭にいる理由です。

明星やグラビアから続く「ハツラツとした女性たちの姿」とは違うこの「都市と女性」というテーマも、
篠山さんの真骨頂であることは確かです。
無機質な風景や夜景の光の中にはたくさんの人が蠢き、人の情念が閉じ込められています。
篠山さんは欲望や情念を外に連れ出し、本来の姿をさらけ出します。
クライハダカシリーズは都市を別の視点で見るための装置です。

映像の制作を担当しその上映イベントがあったので、案内用の印刷物を作りました。
直径10センチほどの丸いカードに、フォーカスのアウトした抱き合う女性の写真です。
紙はマット系のシルバー紙で、不思議な反射を作ります。
人は日々の中で、フォーカスの合っている風景ばかりをみているわけではありません。
たぶん、フォーカスアウトした映像の方がたくさん目に入っているはず。

篠山さんが時おり撮らえるフォーカスアウトした写真は、なかなか世に出ることも少ないのですが、
個人的には大好きな写真です。
淡く儚い二人の影がキラキラとした鮮やかな光を放ち、封筒の中なら怪しい光を発信します。