Deisign & Illustration : Atsushi Miyasaka

故郷の長野県諏訪地方には、諏訪大社という日本全国にたくさんの末社を抱えた大きな神社信仰がありますが、
その母体となった信仰は、古来から地元で信仰されていた精霊信仰と言われています。
ミシャグチ様と呼ばれる精霊が樹を伝って媒体となる少年に降り、現人神となると言われています。

古の信仰が今も根付き、諏訪という場所を作っています。
そのような諏訪の魅力にここ数年どっぷりとハマっていて、
何かしらカタチにしておきたいと作ったハンドメイドブックです。

諏訪らしさをピックアップしているうちに、意味的には関連の薄いモノゴトが、
造形的にはとても近いと感じるようになりました。

日本でも有数の規模を誇る和田峠の黒曜石は、その半透明な光の奥に液体のような滑らかさを感じます。
それは多くの地元蔵元から生まれる芳醇な酒のよう。

液体は熱くたぎり、あちらこちらで湯となり地表に現れます。
それは集まり、諏訪湖となります。
晩冬に諏訪湖に現れる御神渡りは、砕かれて鋭利になった黒曜石の切先のようです。

富士、八ヶ岳、守屋山の稜線の重なり、守屋山の麓から出土した古代の蛇行剣は、諏訪明神の蛇体そのもの。

様々なモノゴトがエンドレスに循環していきます。
これらのイメージを最終的にパッケージする際に、黒曜石のスモーキーな光の奥に仕舞い込めないだろうかと思いました。
黒曜石の加工は自分の手に負えないので、質感の似たアクリル素材でゴロッとした表紙を作り、
薄い本文をサンドしました。

ちょうど、「マチオモイ帖」というイベントにお誘いただいていたので、この本で参加しましたが、
他の出品作は、地元の人々の暮らしや暖かさ、風光明媚な街の素晴らしさを伝えている中でかなり浮いていました。

でも、時には血なまぐさく、冷たく、シャープでファンタジックな諏訪は自分にとって大変魅力的。
結果、こういう表現での地元愛となりました。