Logotype Design : Atsushi Miyasaka / Client: LION

広告会社への入社後間もない頃の仕事です。

当時、猛烈な勢いで広がり始めたボディーシャンプーが固形石鹸を駆逐し始めており、
なんとか固形石鹸を再興させたいというオーダーがありました。
それに応えて、商品開発からネーミング、パッケージ、
広告コミュニケーションに至るまでを、同じ制作担当チームであたりました。

当時売り上げが落ちていたカ○ピスが、
水で希釈してそのまま飲める状態の缶飲料で売る、という画期的なアイデアで大復活し、
今回の石鹸チームも「目指せカ○ピスウォーター」が掛け声になっていました。

まず最新技術で現れた液体石鹸に対抗するには、
商品自体に重要な付加価値がないと難しいということで、
完全に植物由来の原料で作る身体にやさしい石鹸を開発しました。
バブルの余韻もある中で、ましてやロハスやオーガニックといった思想がまだ日本に浸透していない中、
かなり特殊な判断だったと思います。
当時の主な石鹸のほとんどが牛脂で作っていると聞かされ、びっくりしました。

更に装飾性のなさや機能的な佇まいで本格感を作っていくために、
「植物石鹸」というネーミングを提案しました。・・・そのまんまですが。

パッケージデザインは、普通は裏面に申し訳なさそうに記載してある原材料表記を前面に持っていき、
胸を張って中身を伝えようというプランで、テキストがしっかり立つパッケージをデザインしました。

しかし、この無機質ともいえてしまう引き算の思考で作った商品が、
どうしても流通に乗せる際に売り場の感覚として難しい、というクライアントの判断があり
「植物物語」というちょっとスイートなネーミングに落ち着きました。
スタッフ間では「観光地のお土産みたい」と自虐的になったりもしましたが、
結果的にクールな時代でもホットな時代でも、いつも違和感のない名前だったと思います。

商品は市場に受け入れられ、ブランドとして長く安定的に定着していきました。
でも数年後に、競合だったはずのボディーソープが「植物物語」ブランドから出たときは、
ちょっとびっくりしましたが・・・。

このあと別のメーカーの石鹸の広告制作担当になったり、カ○ピスウォーターの広告制作担当になったり、
いろいろな視点で「植物物語」を振り返ることができました。

開発当時はロゴに始まりパッケージ、広告制作もデザイナーとして担当していましたので、
毎日深夜までコピー機の前に陣取っては何度もコピーを重ね文字を壊していき、
ロットリングで新しいエッジを起こしていくという作業を繰り返しました。

コンピュータがデザインの現場にまだなかった頃の話で、納品も紙焼き版下だったと思うのですが、
どこかの段階かでどなたかがキレイにパスでトレースしてくれたのだと思います。
恐れ入ります。

だいぶ前に細いゴシックのブランドロゴに変更になってしまって、
「長く使ってもらえたのだけど、とうとう終わってしまった」と寂しかったのですが、
また最近になって昔のロゴで復活していただいたようです。
廃止になったデザインが復活するとは、かなりレアなケースだと思います。
しかもロゴを生かしたとてもキレイなパッケージデザインでの復活です。
どなたが担当してくださったのかわかりませんが、感謝いたします。